杓子定規は、自己保身の結果か?
2021年7月10日、福島市で行われる東京五輪の野球・ソフトボールが無観客となることが決まった。
個人的には、いまでも東京五輪は秋に延期すべきだったと考えているし、無観客の方が感染リスクが減るのは当然であろう。
ただ、この決定に釈然としないものを感じのは、わたしだけであろうか?
この件では、福島県知事の「県民への思いやり」というよりは、単なる彼の「自己保身」が見え隠れする。
反故にされた「東日本大震災からの復興五輪」
というのは、大義名分だけという批判もあるが、この五輪には「東日本大震災からの復興五輪」というキャッチフレーズがあるからだ。
これによって、東北、とりわけ五輪開催地の福島と宮城県民にとっては、非常に思いの深い五輪と断言できる。
たとえ「大義名分」であったとしても、当事者(わたしもその一人だ)にとっては本当にありがたく感じる。
これまでお世話になった世界の人々に、東北の復興の状況や、東北の人々の元気な様子を見ていただきたいという気持ちも強い。
イーグルスと宮城県と福島県が協力すれば、有観客も可能だった?
仙台では東北楽天イーグルスが1万数千人の有観客開催を続けているし、今日2021年7月17日にはプロ野球オールスタ―ゲームも有観客で開催される。
そのようなノウハウを生かし、イーグルスと宮城県と福島県が協力することによって、2県で有観客五輪を成功させることも、夢ではなかったのではないか?
福島県知事の杓子定規の対応が、下記のような福島県民の夢を水泡に帰してしまった。
あづま無観客「ただただ残念」 五輪、福島県民に落胆
2021年07月11日
有観客から一転して無観客での開催が決まったあづま球場=福島市
残念でならない―。福島市のあづま球場で行われる東京五輪の野球・ソフトボールが無観客となることが決まった10日、有観客から一転した方針に、県民に落胆が広がった。関係者は新型コロナウイルス感染症が拡大する状況を受けた判断に一定の理解を示しながらも、五輪を生で観戦する機会だけでなく、復興の姿を示す場が減ることに肩を落とした。
「何年も前から準備を進めてきたのに」。都市ボランティアの福島市の梅津逸春さん(73)は無観客に伴い、活動が中止となることにやりきれない表情を見せた。少年少女のソフトボールの指導やスポーツボランティアなど70歳を過ぎてからもスポーツ活動に携わってきた。都市ボランティアに登録し、9日はJR福島駅前での現地研修に参加。本番用のユニホームを受け取るなど、大会に向け気持ちが高まっていたところだった。「東京は無観客で仕方ないと思っていたが、福島と宮城は復興五輪という背景がある。観客を入れての開催を望んでいたので非常に残念だ」と言葉を漏らした。
観戦チケットは10日に再抽選の結果が示されたばかり。28日の野球の観戦チケットを持っていた郡山市の女性(32)は再抽選でも当選し期待を膨らませていた。その日のうちに無観客となり「全国から観客が来るので仕方がない気はするが、ただただ残念。1年延期したにもかかわらず観戦できなくなり、『結局か』という思い」と嘆いた。学校連携のプログラムで観戦予定だった川俣町の福田小4年の黒沢龍輝君(9)も「選手が打つところや投げるところ、活躍する格好いい姿を見るのを楽しみにしていた」と残念がった。
大会成功に向けて尽力してきた県内の競技関係者。パブリックビューイングや「おもてなしイベント」はいずれも中止。コロナ禍で関連イベントが次々と中止となり、有観客開催は競技の魅力を伝え、今後の盛り上げにつながる望みだった。県野球連盟の花沢興一会長(80)は「何が正解か分からない。有観客でやってほしいというのが本音」とこぼし、県ソフトボール協会の長沢初男会長(73)は「本当にショックが大きくて言葉が出ない」と述べ、「どんな状況で復興五輪を伝えたらいいのか」と言葉少なに語った。
福島民友新聞, July 11, 2021